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Interview のん 個展「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。」|東北の魅力と融合し、進化する感覚的アート

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Interview のん 個展「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。」|東北の魅力と融合し、進化する感覚的アート | Parco Cruise| PARCO(パルコ)
Interview のん 個展「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。」|東北の魅力と融合し、進化する感覚的アート | Parco Cruise| PARCO(パルコ)

俳優の枠を飛び越え、アーティストやミュージシャン、映画監督など多岐にわたる活動を続ける、のんさん。彼女の芸術表現には、そのときどきで表情を変えるリボンが多く用いられる。端正で美しいのに、どこか静謐でダークな雰囲気も漂わせるユニークなモチーフだ。仙台PARCOの15周年を記念して開催されている「Ribbon展 -怪しくて、可愛いもの。」においては、多面的な魅力を放つアートが東北地方の伝統工芸品とのコラボレーションを果たし、よりいっそう奥深いものに。「東北は第二の故郷」と語るのんさんは、創作を通して何を感じたのか? リボンを解くように、展示にかけた思いを見どころとともに明かしてもらった。

Photo
Kisshomaru Shimamura
Styling
Izumi Machino
Hair&Make
Shie Kanno
Text
Misaki Yamashita
Edit
RIDE Inc.

魅力が複雑に絡み合うリボンアートが
東北ならではの色をまとい、ますます飛躍

2023年8月に、仙台PARCOが開業から15周年を迎えた。記念すべきアニバーサリーに際し、東北をさらに盛り上げるために企画されたのが、のんさんによるスペシャルな展覧会だ。今回の見どころは、彼女のアートと歴史ある東北の伝統工芸品をフュージョンさせた新たな作品たち。自身にとって大事なモチーフであるリボンと和柄を掛け合わせたデザインスケッチをもとに、職人たちが命を吹きこみ、クラシカルでありながらモダンな新境地を切りひらいた。

渋谷PARCO「のん Ribbon展 不気味で、可愛いもの。」(2022年) 会場には、映画「Ribbon」の作中にも登場した大量の「リボン」を使ったインスタレーションやトルソー作品、 2023年1月に「ikuno art stay」で発表した「試作・真っ赤童の部屋」を本個展向けに新たにアレンジした作品が展示される。 「仙台七夕まつり」に合わせて、仙台PARCO館内に展示した“リボンアート”七夕飾り のんさんのスケッチ画

——東北の伝統工芸品とのコラボレーションの感想を教えてください。

今回ご一緒させていただいたのは、青森県の津軽こけしを原型に持つ「こけし灯ろう」と、福島県会津若松市の「赤べこ」です。こけし灯ろうにはリボンの柄を入れたんですけど、津軽こけしによく使われる牡丹の花やトンボ、だるまなど、伝統的な和柄とうまく交われるように意識しました。リボンと和のテイストを融合させて、本当の意味での“合体”を目指したんです。デザインをお渡ししたときに「職人の筆のタッチで描くと、リボンのようなモチーフもぜったいに洋風にならない」と言われて、それってどういうことなのか、どんなふうに仕上がるのか、できあがってくるまで本当に楽しみで! こけしの表情は“一人ひとり違うものにしてください”というリクエスト以外、職人さんにおまかせしたので、そこも伝統との共存が感じられるポイントだと思います。

捉え方しだいで多彩な表情を見せる
リボンというマテリアルの可能性

——のんさんにとって、リボンとはどういう存在なのでしょうか?

リボンはすごく大切なモチーフ。可愛いものの象徴とか装飾品といったイメージがあるけれど、アートとして捉えると、生き物に見えてきたり感情が浮かびあがってきたり。ダークなものも、リボンという可愛いもので表現すると独特の味わいが出てくるんです。サテンやレース、オーガンジーなど、生地によって表情が変わるのもおもしろいし、矛盾しているようでいて馴染むところが好きですね。

——今回の展示によって、ご自身の中のリボンの捉え方に何か変化はありましたか?

基本的には変わらないです。可愛いものの象徴が、気持ちわるかったりダークなものだったりこわいものだったりに見えてくる、複雑な表現になっていくのが面白い。リボンアートはただ可愛いだけじゃなく、いろんな魅力が重なることによって受け取り方が無限に広がっていくから、そこがとても気に入っていて。ただ今回、伝統工芸品とコラボしたことで“リボンは和の魅力とも相性がいい”ということに気づいたから、新たにその幅が加わったかなと考えています。

追求したいのは、本能とも通じる感覚。
両極端な魅力が共存する強さ、危うさこそ美しい

——創作のインスピレーションは、どこから得ていらっしゃるのですか?

自分が“好き”と思う感情であるとか、五感をくすぐられたり皮膚感覚が動いたりすることを大切にして作っています。皮膚感覚というのは、演技をするうえでも大事にしていることなんですけど……インターネットで調べてみると「触覚、痛覚、温覚、冷覚などの感覚点に存在する受容細胞によって受容され、知覚される感覚のこと」って、詳しすぎる説明が(笑)。だから“五感”ともちょっと違う。直接的な作用ではなくて、感動して自分のどこかが繋がって皮膚感覚が動くような体験をして欲しいと思っています。

——心よりも本能的な部分に近い感覚なのかもしれませんね。それについては、いつ頃から意識されていたのでしょう?

アートに関しては、最初から意識していると思います。気持ちわるいとかこわい、でもなんか魅力的だな、と思うものに惹かれるんです。リボンアートの始まりも、蝶の群れが木にびっしりくっついているのをイメージしたところからでした。人によっては「気持ちわるくて見られない」と言う人もいるし、「きれいだね」と言う人もいる。そんなふうに両極端に見えるのがおもしろいところだから、人それぞれの感覚で受け取ってもらえればいいと考えています。“こわい”と思ってもらってもいいし、“きれいだな”とか“可愛いな”と思ってもらえてもいいし。そうやって、魅力が多面的になっていくのが好きなんです。

土地と人々が醸す圧巻のエネルギーに感動。
時間を見つけたら、まだ知らない東北へ

——リボンにはファンシーな魅力を持つ一面も。もし今のんさんが魔法を使えるとしたら、どんな力が欲しいですか?

瞬間移動! おうちから一秒で仙台に来られるみたいな、そういう魔法がいいですね。東北新幹線は好きなので捨てがたいのですが、最近は旅行に興味があるので、東北のいろんなところへ瞬時に行けたら素敵です。

——最近、心がゾワッと動かされた瞬間はありましたか?

岩手の盛岡さんさ踊り。岩手の人はめちゃくちゃ好きなんですよね。岩手には遠野の鹿踊(ししおどり)とか、久慈の秋祭りは見たことがあるけど、さんさ踊りは見たことなかったんです。4車線を封鎖して大勢が踊りながら歩いていくのですが、企業の社員の人たちや、大学生の子たちだったり、街の伝統の踊りを受け継いでいる組合とか団体――いろんな人々が踊っていくのが、めちゃくちゃかっこよくて。道を封鎖して大量の人が進んでいくというだけでも圧巻で、ゾワッとしました。それまでは「これ知ってるけど、生で見たことないから見たいね」って周りの人と話しながら生配信を見ていたんです。それがやっと叶いましたね。ただ、配信で見つけた推しの“ミスさんさ踊り”に会えるのを楽しみにしていたのに、席の真後ろが池と森だったので「ぜったい蚊に刺される!」と虫除けスプレーを買っていたら、そのうちに推しの人が通りすぎちゃって(笑)。なので次はぜひその方を見られるように、再訪したいですね。

 

展示名
のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。
会場
PARCO SPACE6(仙台PARCO 本館 6F)
開催期間
2023年10月13日(金)~ 10月29日(日)
営業時間
10:00~20:30
※会期中無休、最終日のみ18時閉場
※入場は閉場の30分前まで。
入場料
700円(税込)
※未就学児無料
※株主優待あり(入場無料)

※詳細は下記URLをご確認ください。
https://art.parco.jp/sendai/detail/?id=1319
ショップ名
PARCO SPACE6
フロア
仙台PARCO 本館 6F
公式SNS
Instagram(@parco_sendai_official

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のん

俳優・アーティスト。俳優業から芸術、音楽まで、幅広い才能を発揮する。仕事をきっかけに10年来のつながりを有している東北をこよなく愛し、最近はプライベートでもさまざまな場所を訪れるまでに。2022年の映画「Ribbon」では、監督のほかに脚本、主演、編集、アートを担当。2023年6月には、さまざまなミュージシャンたちとのコラボレーション楽曲を多く収録した「PURSUE」を発表した。
Instagram(@non_kamo_ne)

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