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Interview 星街すいせい|展覧会「SUISEI ARCHIVES」

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Interview 星街すいせい|展覧会「SUISEI ARCHIVES」 | Parco Cruise| PARCO(パルコ)
Interview 星街すいせい|展覧会「SUISEI ARCHIVES」 | Parco Cruise| PARCO(パルコ)

人気VTuberグループ・ホロライブに所属し、代表曲「ビビデバ」のMVがYouTubeで1億回以上再生されるなど、VTuber界屈指の歌姫として知られる星街すいせい。2024年、PARCOのコーポレートメッセージ「SPECIAL IN YOU.」に出演した際、「展覧会を開催したい」と伝えたことがきっかけとなり、2025年、彼女の初となる展覧会「SUISEI ARCHIVES」が実現した。

本展覧会は第一弾をPARCO FACTORY(池袋PARCO 本館7F)にて開催し、6月27日より、PARCO GALLERY(名古屋PARCO 西館6F)を巡回予定。VTuber個人勢としてデザインから動画編集まですべてを担当していたデビュー時を経て、ホロライブプロダクション内の音楽レーベル・イノナカミュージックに加入し、後にホロライブ本体に転籍して現在にいたる7年間の軌跡とその生き様を、彼女自身の言葉やクリエイティブで振り返る展示となっている。実際に会場に足を運んだという彼女に、今回の展覧会への想い、現在の自分を形成した事柄などについて聞いた。

Photo
Sachiko Saito
Text
Jin Sugiyama
Edit
RIDE Inc.

――PARCO FACTORY(池袋PARCO 本館7F)で展覧会「SUISEI ARCHIVES」が開催されました。PARCO FACTORYでの展示は、TAKU INOUEさんとのユニット・Midnight Grand Orchestra以来2回目、星街さん個人としては初となります。会場に足を運んでみての感想はいかがでしたか?

もともとお写真で会場の様子を拝見してはいたんですけど、実際に行ってみてすごく感動しました。最後の出口に繋がる通路(「EXIT」)の壁に(来場者や所縁のあるクリエイターたちが書き残した)みんなのメッセージがずらーっと並んでいて。私は開催前のまっさらな状態の壁しか見ていなかったので、驚きと嬉しさを感じました。

――星街さんは以前から二次元と三次元の垣根を超えて様々な場所で活動することを大切にしてきた方ですが、今回の展示もまさにそのひとつと言えそうですね。

「私たちの存在が、ちょっとずつ浸透していっているのかな」と思いましたし、PARCOに来た方がふと展示の前を通りかかったときに、「こんなのやってるんだ」と興味を持ってもらえたら嬉しいな、と思っています。期間中、池袋PARCOの外壁照明を私のイメージカラーの青に変えてくださっているのも、実際に見てびっくりしました。「PARCOが本当に青いぞ!」って。

――特に印象的だった展示パートがあれば教えてください。

最後の通路のみんなが書いてくれたメッセージにとても感動しました。それから、最初のエリアにある、来てくれた方の目に星が宿る顔認証のスペース(「ENTRANCE」)も、システムとしてすごく面白いですよね。「こんなことできるんだ?!」って思いました。

――『WIND BREAKER』や『SPY×FAMILY』『ぼっち・ざ・ろっく!』などのアニメーション制作で知られるCloverWorksが手掛けた「綺麗事」のMVの先行展示「KIREIGOTO THEATER」も話題ですね。この曲は星街さんが初めて作詞作曲を手掛けた楽曲です。

これまでも作詞は何度かやらせてもらっていましたけど、作曲まで担当するのは初めてで、(編曲を担当した)TAKU INOUEさんと二人三脚で作曲していきました。実は、完成してからも全然自信がなくて、「もっと上手くできそうだけど、アルバム収録の期限もあるし、ここまでか……」「でも、今の最大値はこれかな」と葛藤しながら生み出した楽曲でもあって。そんな曲に、CloverWorksさんが素敵なMVをつけてくださって、展覧会場で先行公開が出来て、色んな方に「すごくよかったよ」と言ってもらえて――。「また違う色を入れられたのかな。よかったな」と思っています。

――楽曲制作はすべてプロの方にお願いすることもできるわけですが、「自分でもやってみたい!」と考えるのは、とても星街さんらしいエピソードのような気がします。

そうですね。楽しそうなことは、何でもやりたい性分なので(笑)。ただ、最初は本当に大変でした。やり方も分からないし、コード進行も分からないし、どうしよう……って。もともと「3rdアルバムには自分が作曲した曲を必ず入れたい!」と意気込んでいたんですけど、実際の作業は全然うまく進まずに、「まだですか??」とお尻を叩かれてようやく最初にひねり出したのが、サビのワンフレーズ(「綺麗事を吐くその口が嫌いだから歌を歌うんだ」)でした。それをTAKU INOUEさんに渡したら、「頑張ってみます」とトラックをつくってくれて、そこから楽曲をさらに広げていって――。イノタクさんのおかげで出来た曲でもあるんですけれど、私自身、実際に作曲したからこそ分かったことがたくさんありましたし、「またやってみたい」と考えたりしています。

――これからも星街さんが作曲した曲が聴ける可能性があるということですか。

「頑張りたい!」と思っています!

――今回の展覧会「SUISEI ARCHIVES」のキービジュアルは、そんな「綺麗事」のMVと世界観とリンクしています。このアイディアについても教えてください。

会場で先行展示される「綺麗事」MVのはじまりのシーンが、都営大江戸線沿線の駅をオマージュした架空の駅のホームになっていて。そこで、展覧会「SUISEI ARCHIVES」自体も電車というキーワードを絡めていて、今回のキービジュアルになりました。MV制作の際には、「曲にはこういう気持ちを込めました」という話をこちらから監督に伝えて、そこから色々と想いを拾っていただきました。

――その結果、過去の自分が登場したりもする、「諦めたらそこで終わりだよ」という楽曲のメッセージをビジュアル化したようなMVになったのですね。

そうですね。後日、文章をお渡ししたりもしました。質問をもらったので、それに対して曲の内容や私の活動の背景や、どういう想いでいたのかということをお伝えして。そこからさらに掘り下げていただきました。

――ちなみに、展覧会の舞台となった池袋PARCOの思い出はありますか?

一番の思い出は、好きなブランドに出会えたことですね。池袋のPARCOで出会って、かわいいなあと思って。

――なるほど、好きなものに出会えた場所なんですね。星街さんは歌、イラスト、映像編集など様々な種類のクリエイティブに興味を持っている方だと思います。幼少期から、自分の人柄や考え方を形成する上で影響を与えたと思う事があれば教えてください。

インターネットの世界があったから、今の自分があるんだな、とは思っています。私は本当に小さい頃からインターネットに触れてきたんですけど、インターネットって、普段は一般人と言われるような方たちが活躍できる場所になっていたり、クリエイティブを世界中に発信できる場所になっていたりするじゃないですか。私自身、自分が見てきたそういう人たちに憧れて、「自分もやってみたい!」と思ったことが、活動をはじめるきっかけになりました。私はもともと田舎出身で、周りには本当に人が少なくて。何をやったとしても、そもそも見てくれる人があまりいないような環境で過ごしていたんです。でも、インターネットを開けばたくさんの人が見てくれる舞台があって、そこでは本当に色んな人たちが活動をしていて。それってすごいな、面白いなって、その頃からずっと思っていました。

――インターネットを通して色んな方の活躍を見たことで、自分もその舞台に立ちたいと思った、と。

ネットミュージックとか、それこそボーカロイドとかも、当時からすごく聴いていて。実際、その頃から聴いていた方たちに、今自分の楽曲をお願いしたりしているので、そこから憧れがはじまったんだと思います。ひとりのアーティストさんが音楽だけでなく色んなことをやるということも、今では普通になっていますけど、当時インターネットで活躍していた方々を見たことで、「あれもこれも出来る人ってすごいな。私もやりたいな!」と思ったのかもしれません。

――実際に活動をはじめてから、大切にしている美学や信念はありますか。

常々言っているのは、「活動を自分のためにやる」ということですね。私の場合、たとえば音楽も、「誰かのために」つくっているわけではなくて、まずは「自分が楽しいから」「自分がこれを表現したいから」という心を大切にしてクリエイティブに向かっています。もちろん、「誰かのために」も素晴らしいことですけど、それだけになってしまうと、本当にやりたいことがブレちゃったりすると思うので。「私はこうだから」というものは、ずっと大切に持つようにしています。

――とはいえ、自分を貫くことは、時には大変なことでもあります。それをずっと続けてこれたのはなぜなのでしょう?

同じホロライブの事務所の仲間に色んなタイプのメンバーがいて、それぞれに支え合えたことも大きかったのかもしれません。「この子はこんな子でこんな魅力がある、でも私はこうなんだな」と、自分のことに気付くきっかけになったりもします。

――星街さんのこれまでの活動の中で忘れられない瞬間についても教えてください。

今回の展覧会の「WORDS OF SUISEI」のパートにも出てきますけど、私が初めてイノナカミュージックに入るというお披露目のライブ(AZKi 1st Live「The Shitest Start」)ですね。あの時は事前告知のないサプライズ出演で、同じ事務所のAZKiちゃんのライブのオープニングアクトだったので、おそらくAZKiちゃんのファンの方たちがたくさんいる中で、「イノナカミュージックに所属することになりました。1曲歌わせていただきます!」と伝えることになって。そのとき、AZKiちゃんのファンの方なのか、私のファンになってくださった方だったのかは分からないんですけど、みんながペンライトの色を私のイメージカラーの青にしてくれたんです。あの風景は、今でもすごく覚えています。当時の私はライブの経験もなくてすごく緊張していて、「きっとアウェイの空間なんじゃないか」と思っていました。それなのに温かく迎えてもらえたことに、すごく感動した思い出があります。

――星街さんがたくさんの人の心を動かしたかもしれない瞬間だったのですね。昨年はPARCOのコーポレートメッセージ「SPECIAL IN YOU.」にも出演されました。PARCOにはどんな印象を持っていますか?

私にとってはPARCOさんって色んなところで見かける、日常の中のひとつのような存在だったのですが、実際にお仕事でかかわらせていただく中で、スタッフさんたちの企画にかける熱意を知ったりといい意味で裏側を知ることができて。自分にとって特別な場所になりましたし、その一部に名前を連ねられたことが嬉しいです。

――そもそも「SPECIAL IN YOU.」(=みんなそれぞれに特別)というメッセージは、VTuberのみなさんが発信し続けてきたことともリンクする部分があるかもしれません。

そうですよね。「SPECIAL IN YOU.」の際、「SUPER DOMMUNE」の番組に出演させていただいたのですが、配信にかける思いや情熱がすごいと思いましたし、私のようなVTuberとしての存在も1アーティストとして、多様性のひとつとしても面白がってくださって。こうして展覧会まで開いてくださって。たくさんの方々に実際に足を運んで観ていただき、それをとても嬉しく思っています。

© COVER
Information
   
展覧会
『SUISEI ARCHIVES』
会場
PARCO GALLERY(名古屋PARCO 西館6F)
開催期間
025年6月27日(金)~7月13日(日)
入場料
1,500円(税込)※入場特典付き

※小学生以下無料(ただし保護者の同伴必須)
※入場特典のお渡しは有料入場者のみ
※混雑時は入場規制等行う場合がございます。
Official website
https://art.parco.jp/parcogallery/detail/?id=1719
Official SNS
X(@ngparco_gallery
Instagram(@parco_nagoya_official

星街すいせい

歌を武器に圧倒的な存在感を放ち、ミュージックシーンを切り拓いているバーチャルアイドル。YouTubeチャンネル登録者は270万人を越え、24年3月にリリースした楽曲『ビビデバ』がスマッシュヒット。Billboard Hot 100では最高順位19位を記録した。24年11月~25年2月には全国3都市を回るライブツアーと日本武道館でのソロライブを成功させ、25年1月にリリースされた3rdフルアルバム『新星目録』もBillboard JAPANとオリコンの週間デジタルアルバムランキング1位を獲得。さらに、2024年11月にはPARCOのコーポレートメッセージ「SPECIAL IN YOU.」の、記念すべき10周年のタイミングで抜擢されたことでも話題に。バーチャルミュージックシーンの先駆者である彼女の描く新時代のシンデレラストーリーに今後も目が離せない。

YouTube
https://www.youtube.com/@HoshimachiSuisei

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